第6回 yossy 氏

  • 第6回 yossy 氏
  • サイボウズ・ラボの竹迫良範さんの紹介で、yossyこと新藤愛大さんにインタビューさせていただきました。年齢はなんと20歳でフリーランサー。実績を見ていただくと、とんでもない方だとご理解いただけると思います。若い感性の中に、仕事に忙殺されてプログラミングの楽しみを忘れかけている世代のヒントになるお話も多々ありました。インタビューは埼玉県内にあるyossyさんの自宅で行いました。

    ※取材日は、2008年8月です。所属や役職などは当時のまま掲載しております。
  • PCとの出会い

    川井 よろしくお願いします。

    yossy こちらこそよろしくお願いします。

    川井 まだお若いんですよね。

    yossy はい。今19歳です。

    川井 学生さんというわけではないんですよね。

    yossy 去年まで大学生だったんですけど、3カ月で辞めてそこからフリーランスで活動しています。

    川井 後ほどそのお話も聞かせてください。

    yossy はい。

    川井 ではまず、最初にパソコンに触れたのはいつ頃ですか?

    yossy 僕は中学生になってパソコンに初めて触れました。中学は受験で私立に行ったんですが、その入学祝いという形で家にパソコンがきました。それまでは家にもパソコンもなかったですし、両親も特にそういう仕事ではなかったのでその時に初めて触れました。最初はWindowsでしたね。僕は昔から何か作ったりするのが好きだったんですが、最初はホームページを作りたいと思ったんです。そういうところから足を踏み入れてやっていましたね。

    川井 なるほど。最初のパソコンの機種とかは覚えていますか?

    yossy 最初はVAIOでした。WindowsはWindows Meでしたね。

    川井 ありましたね。あまり売れなかったですよね(笑)

    yossy そうですね(笑)

    川井 それは2003年とか2004年とかですか?

    yossy そうですね。

    川井 最初はどんなことに使われたんですか?

    yossy 家の中でも僕しか使わなかったので1日中触っていましたね。その中でホームページをやったりネットを見たりとかしつつ、ゲームを作りたいとかだんだんと物を作るというプログラミングとかにも興味が出てきてやり始めました。それでいろいろな言語をやったんですけど、最終的にFlashに出会ったんです。Flashが1本あれば結構ゲームがそれだけで完結して作れるんだなというのに気がついて、そこからFlashを触りだして今に至るという感じですね。

    川井 なるほど。ゲームとかはやっていたんですか?

    yossy 実は自分自身はゲーマーでもないですし、ゲームはそんなにやらない方なんです。でも、親父と弟はゲームが好きなんです。

    川井 そうなんですか。どんなゲームをされるんですか?

    yossy 結構いろいろなジャンルをやっていますけど、親父はRPGとか好きで弟はアクション系が好きみたいですね。そういうのを見てるのが好きで自分で作りたいなというのは常々思っていたんですよ。

    川井 なるほど。やらないけど作りたいというのがあったんですね。

    yossy そうですね。やらないけど作るのに興味がありました。

    川井 作るというのはシナリオみたいなものなんですか?それとも画面を作りたいという感じだったんですか?

    yossy どっちかっていうとシナリオとかストーリー性重視とかいうよりは、とにかく画面を動かしたいという感じでしたね。

    川井 そうですか。それはどっちかというとアートみたいな気持ちの方が大きいんですか?

    yossy そうですね。

    川井 子供の頃、絵を描いたりされてたんですか?

    yossy そうですね。絵を描いたりというのも好きでしたし、いじくったりして紙で物を作ったりするのも好きでしたね。その延長みたいな感じでした。

    川井 私は不器用でドラえもんくらいしか書けなくて、書いたとしても平面的なドラえもんだったんですけど、そういう人にとって、PowerPointみたいなツールを使ってとか自分のイメージしたものが自由に作れるというのはすごいなって、相当な衝撃を受けたんです。

    yossy 確かにそうですね。

    川井 でも、元々絵を描くことが出来る人にとっては自分で表現するより制限があるからがっかりしたという人もいたりだとか、絵の描ける人たちにとっては端末で表現するものというのは表現の一部に過ぎなかったりするところがあると思うんですけど、yossyさんはどちら側だったんですか?Flashを使って作っていく中で、わくわくするなとかそれとも自分の思ってることの半分も出来ないなとかどちらでしたか?

    yossy 僕自身は、絵は描くには描きますけど、そんなに得意だったわけじゃないんです。うまい方でもなく結構中途半端な感じだったので、Flashによってより動かせる幅が広がったなという方が大きかったですね。

    川井 そうですか。それは感動が大きいですよね。

    yossy そうですね。

    3度の飯よりActionScriptが好き

    川井 Flashに触れたのはいつくらいですか?

    yossy 最初に触れたのは中学1年の秋とかですね。

    川井 早いですね(笑)

    yossy 確かそうでしたね(笑)

    川井 最初の入口はアニメーションの方ですか?

    yossy 最初は「ゲームを作ろう」みたいな本を買って見ながらやっていたので、最初からScriptの方もやっていましたね。でも、Flashだったのでアニメの方もちょこちょこやったりはしていました。

    川井 当時、Flashは時代的な背景とかはどうだったんですか?

    yossy 当時はFlash 5で、結構Flashが流行ってきている時期でした。自分もネットでFlashを使ってるゲームを見て、Flashすごいなと思って始めました。

    川井 企業のホームページのTOPがFlashだと検索性が悪いので引っ込めたという時代がありましたがそのくらいですか?

    yossy それはもう少し後じゃないですかね。その頃は個人で作っているものとかが流行っている時期でしたね。

    川井 では、結構Flashが一般的に使われ始めた時期なんですね。

    yossy そうですね。盛り上がり始めた時代ですね。その波に乗って僕も成長してきた部分があります。

    川井 どんなゲームを作ったんですか?

    yossy 最初はくだらないというか、シューティングっぽいのや、テトリスっぽいブロック崩しみたいなものですね。その後はパズルゲームみたいなものを自分で考えて作ったりだとかしました。

    川井 作ったゲームというのはどう検証したりどう広めたりとかしていたんですか?

    yossy 最初の頃から自分のサイトで公開はしていました。あとは、Flashの投稿サイトがあったんですけど、そこに勢いよく突っ込んでいったりしました(笑)

    川井 反響はどのくらいあったんですか?

    yossy 反響はそんなに多くはなかったんですが、そこそこ面白かったみたいな感想がありました。

    川井 その頃ってまだ中学生ですよね。中学生って進路のことで頭がいっぱいだったり、彼女が欲しいとかだったり、部活を頑張るぞとか思ったりすると思うんですが、Flashで将来どうしようとかそういうのが大きかったんですか?

    yossy 特にその時は何も考えてなかったですね。もともと行っていた学校が中高一貫で大学の付属だったので、進路のことはあまり気にしなくていけたんですよ。部活もパソコン系の部活に所属していたので、部活を頑張る=Flash頑張るみたいなところに繋がっていたりしました(笑)

    川井 なるほど(笑)

    yossy ほぼパソコンという感じでした。このままいったら人生やばいんじゃないって時も途中ちょっとありましたね(笑)

    川井 もう頭も時間もパソコン一色だったんですね。学校でも家でもという感じですね。

    yossy そうですね。ご飯とお風呂以外はパソコンの前にいるみたいな感じでしたね。両親にちょっと心配された時期とかもありましたよ。制限されたりしました。

    川井 そんなこんなが「3度の飯より~」に繋がるんですかね(笑)それはもうずっと変わってないところなんですね。

    yossy 基本的にはそうですね(笑)

    川井 高校はどうだったんですか?一貫だったんですよね。

    yossy そうですね。そのままスライドという感じでしたね。部活が数理研究同好会というところだったんですけど、中学1、2年は数学のことをやって3年生になるとパソコンも触らせてもらえるようになって、文化祭に向けてパソコンで作品を作るというのがメインの活動だったんです。それで、だいたいの部員はそこに向けてゲームを作って展示していたんです。なので、この頃は文化祭に向けてゲームを作るというのを主軸に活動をしていました。

    川井 みんなが出来るように展示していたんですか?

    yossy そうですね。その場にパソコンを置いて展示するという感じでしたね。文化祭なのでその場でフィードバックが得られて、それはそれで面白かったですね。

    川井 その頃は中学の時よりレベルアップしていると思うんですが、高校時代に身について変わってきたと思うとこはありますか?

    yossy 中学入ってから初めてプログラミングを始めて成長していく中で、いろいろな人もそうだと思うんですが、オブジェクト指向を覚えたりだとか、より設計を意識するようになったりだとか、コードを綺麗に書くというのを意識したりという成長がありましたね。

    川井 そうですか。ActionScript以外にもその他の言語も少し勉強されたりとかもしたんですか?

    yossy 結構しましたね。

    川井 例えば、それはどういったものですか?

    yossy 最初、ゲームを作る時にDirectXを触るためにCとかC++とかやっていた時もありましたし、勉強のためにJavaをやっていた時もあれば、Flashをやるとなるとサーバサイドの方もやりたくなる時があってPHPを書いていた時とかもありましたね。

    川井 そうですか。そういった勉強はどのようにされていたんですか?

    yossy ほぼ周りに教えてくれる人もいないし、友達も特に詳しい人はいなかったので本かネットかでしたね。

    川井 それで覚えられちゃうもんですか?

    yossy なんとか覚えましたね(笑)

    川井 (笑)

    yossy 今となってはどうやって覚えたのか定かじゃないですけどね。

    川井 一通り読めるようになったんですか?書けるようになったんですか?

    yossy 僕は結構人のコードを結構読むので読む方が強いかもしれないですね。

    川井 じゃ、まず読みこなしてという感じですね。

    yossy そうですね。読みこなしてから自分で書いていくという感じですね。

    川井 ActionScript以外にこの言語おもしろいなというのはありますか?

    yossy 面白いかどうかはわからないですけど、結構Javaは好きでJavaでコードが書かれてたりすると意気揚々と読んでしまったりします(笑)

    川井 そうなんですね。どんなところがJavaのいいところですか?

    yossy オブジェクト指向のお手本なところですかね。あまり、トリッキーな部分がないというところがあって読みやすいってところがありますね。

    川井 オブジェクト指向って最初やった時は魅力的だったんですか?

    yossy 最初やった時はもう本当に訳わからなくて、classって言われても学校のクラスしかイメージ出来なくて何が何だかって感じでしたね。でも、やっていくうちにだんだんわかってきて、そうなるとやっぱオブジェクト指向なしでは生きていけないみたいになっていきましたね。

    川井 なるほど。TISの倉貫さんって方がいるんですけど、C言語とかでやってこられた方なんです。オブジェクト指向に出会って、オブジェクト指向をやっている会社に入ろうと思ったらしいんですよ。当時はTISと2社くらいしかなかったらしいんですけど、それでTISに入ったらしいですよ。そのくらい衝撃を受けたという方も時代的にはいらっしゃるんですよ。たぶん、前の言語との比較もあると思うんですけどね。

    yossy 結構、僕の時はオブジェクト指向が当たり前になりつつあったので、無理やり覚えさせられたようなところもありましたね。

    川井 なるほど。では、いろんな言語を勉強されたんですね。

    yossy そうですね。普通のFlasherというかActionScriptやっている人に比べたらやっている方ですね。

    川井 一般的にはデザイン系なのかなと見えちゃいますよね。プログラミングの知識がないと出来ないというところもあるんですよね。

    yossy そうですね。

    川井 では、高校時代は独学でステップアップ用の言語を勉強されたんですね。

    yossy そうですね。ほぼ独学ですね。

    川井 それで、ActionScriptの知識も磨かれて文化祭にターゲットを絞ってという青春時代だったんですね。

    yossy そうですね。あと部活の方でIT選手権だとかプログラミング甲子園の大会にちょこちょこ出たりとかはありましたね。なので、そういう勉強をしたりというのもありましたね。

    川井 具体的にどういう大会なんですか?

    yossy 学生科学賞のソリューション部門に応募して自分で問題設定をしてそれを解決するための策を出すものですとか、IT選手権ですとIT関連の知識を問うようなものです。あと、僕は学生のうちに資格を取っておこうと思って資格を取りにいったりしていましたね。

    川井 どんな資格を取りにいかれたんですか?

    yossy 初級システムアドミニストレータと基本情報とソフトウェア開発は高校のうちに取りました。

    川井 すごいベーシックにいきますね(笑)

    yossy すごいベーシックですね(笑)とりあえず、そこは取っておこうかなと思ったんです。

    川井 なんらかの時に役立ちますからね。

    yossy そうですね。将来役に立つかなと思ったんで取ったには取ったんですけど、Flashをやる上ではあまり役には立たないですね(笑)

    川井 (笑)

    Spark project

    川井 大学はどういう学部に行かれたんですか?

    yossy 入ったのは東京工科大学のメディア学部というところです。どっちかっていうとITよりメディアというかアートが強いところに行こうかなと思っていたんです。

    川井 なるほど。受験は大変だったんですか?

    yossy 僕は一般入試はちょっときついかなと思っていて、しかも付属だったのでエスカレータを蹴っていかないといけなかったので、書類、論文、面接で行けるAO入試でなんとかいこうと思って無事合格しました。

    川井 それで無事合格されたんですね。それが何年くらいですか?

    yossy それが去年の話ですね。

    川井 最近の話ですね。

    yossy そうですね。入学したのが去年の4月ですね。

    川井 入学してみてどうだったんですか?

    yossy 新しい環境だったので、楽しかったには楽しかったです。でもその頃はもうFlashに打ち込む度合いもかなり強くなってきていて仕事も受けるようになってきていたんです。それで、どっちをとるかなと思った時に僕はFlashを取ることを決めて、大学を辞めてFlash一本にしたんです。

    川井 大学が嫌だとかではなく、もうFlashをずっとやっていたいということなんですね。それもすごいですね。それで、辞めちゃって親御さんの反応はどうだったんですか?

    yossy 結構、理解を示してくれましたね。あまり止めもせず、やりたいようにやればいいんじゃないかなと言ってくれましたね。

    川井 そうですか。その頃もう仕事が入ってくるわけですから、業界やハッカーの間でも含めて名前が轟いていたんですね。yossyという名前が広まっていくに至るまでというのはどういう風に至ったんですか?

    yossy その頃、今やっているサイトをもう既にやっていたんです。高校の後半くらいからですね。そこで学生で時間もあったので人がやらないようなActionScriptの結構マニアックなことを書いて公開していたんです。それが結構響いている人が多くて、見てくれている人が多かったみたいなんですよ。で、高校3年生の時に「未踏ユース」に採択されたので結構そこで更に名前が知られたというところもあるんじゃないかなと思いますね。

    川井 「未踏ユース」に採択のきっかけとかっていうのはあったんですか?

    yossy もともと僕は「未踏ユース」の存在は知らなかったんですけど、部活の顧問の先生がそれだけFlashとか好きで出来るのであればIPAの「未踏ユース」というのがあるからせっかく高校最後だし応募してみたらどうと持ちかけられたんですよ。それで、結構軽い気持ちで出してみたら採択されてしまったんです。

    川井 どういうテーマだったんですか?

    yossy テーマはSpark projectのことを出しました。ライブラリがFlashには少ないということで、それの最初のものとしてゲーム用のフレームワークを作りますという提案をしてそれが採択されました。それでもらった資金を初期費用として、今のSpark projectが立ち上がったという感じです。

    川井 なるほど。 そのプロジェクトの中身を詳しく教えてもらってもよろしいですか?

    yossy FlashやActionScript界隈で未だにオープンソースな感じが薄くて、結構やっている人も職人気質な人が多くて、自分の作っているものや中身の部分をあまり公開しようとしないんですね。それは表現に直結していて仕方ないという部分もあるんですけど、表現とは関係ない同じような問題で悩んでいたりするんで、みんなでもっと情報とかライブラリとか共有した方が仕事でやっている人も幸せになれるだろうなと常々思っていたんです。

    川井 なるほど。

    yossy それで、もっと促進しようと思った時に、集まったりとか公開できる場があったらそこにみんな集まってきてくれるだろうなと思って、ドメインをとってそこにtracとかSubversionとかを用意して、公開してみんな無償だから使ってねという風にしよと思って始めたのがSpark projectです。

    川井 それはゲームに囚われずFlashのオープンソース化というかライブラリに貯めこんだりということでやられているんですよね?

    yossy そうですね。FlashやActionScriptに関係することならなんでも歓迎みたいな感じで今やっていますね。

    川井 何かコミュニティやカンファレンスなどイベントを行っているんですか?

    yossy まだそこまで規模が大きくないですね。でも、だんだん成長しつつあるので先月からAdobeさんのオフィスで勉強会を月1回開催するようになりました。今月も2回目を末にやる予定です。

    川井 何人くらい参加されてるんですか?

    yossy 借りている会議室の大きさに合わせているんですけど大体40人くらいでやります。

    川井 すごいですね。

    yossy ありがたいことに注目してくれている人が多いみたいで、勉強会の申し込みも30分で埋まっちゃったりしますね。1回目は、いきなり告知をしていきなり募集だったのでけっこうばらばらに応募が来たんですけれども、こないだの2回目は「この時間から開始します」と時間を決めて募集するようにしたら、アクセスが多すぎてサーバが落ちるくらいになってしまって(笑)

    川井 そうなんですね(笑)

    yossy それはびっくりしましたね。

    川井 それはすごいですね。

    yossy 僕もそこまでだとは思ってなかったです。

    川井 どこかの企業がバックアップするなんて話もけっこうあるんじゃないですか?

    yossy どうだろう、今のところはそんなに・・・。Adobeさんにはよく協力してもらっていますけど。

    川井 スポンサーがつきそうな気もしますよね(笑)

    yossy (笑)ただ、あんまり企業色のようなものは出したくないなとは思っているんです。

    川井 コミュニティ色で行きたいってことですね。

    yossy そうですね。ユーザコミュニティでありたいと思っています。

    川井 なるほど。最近の若い方はやはりそういう文化なんですかね。企業とか利益の追及とかは嫌がるじゃないですか。

    yossy そうですね。

    川井 我々も企業ではあるんですけれども、こういった企画(Engineer25)のほかに7、8、9月はRuby on Railsのセミナーイベントを7つ展開したりしているんです。企業のバックアップがあってうまくいくケースもあるしいろいろですよね。

    yossy バランスだと思いますね。

    川井 RubyもActionScriptも、大手企業がどんどん使うようになって広まるという部分も必要だろうし、そこを超える何かというのが要るのかなと思うんですけどね。これからの、コミュニティと企業の関係性って面白いんじゃないかと考えています。

    yossy なるほど。

    川井 勉強会なんかも始められて、今のテーマっていうのはどんなものですか?

    yossy そうですね。まずはSpark projectの発展というのが今の一番の目標です。Spark projectを、FlashやActionScriptの登竜門というか、やっている人ならだれでも知っているというような場所にしたいなと思っています。後々としては世界的な場所にもしていけたらいいなと考えています。

    川井 なるほど。今のグローバル展開、海外とのやり取りはどういう感じなんですか?

    yossy 公開しているライブラリをいくつか英語化はしているんですけど、まだ今はそこまで力は入れられていません。だからこれからかなという感じですね。

    川井 そうなんですね。

    yossy Adobeさんには協力をしてもらっていて、今後海外の技術者の人にも「こういうサイトがあるんだよ」というのを認知してもらうような活動をやれたらいいなと思っています。それと、海外のほうだといくつかPapervision3Dだとかライブラリを作っている集団があるので、その人たちとつながれたら面白いかなと考えています。

    川井 なるほど。世界的な規模のActionScriptのカンファレンスやコミュニティというのは今存在しているんですか?

    yossy 全世界的にということだとないかもしれないですけど、海外だとFlashCodersとか、そこそこ盛り上がっているActionScript系のコミュニティはあったりしますね。イベントだと一番大きいのはAdobe Maxだと思います。

    ActionScriptの魅力と今後の展望

    川井 FlashやActionScriptをやり始めたきっかけは、動かして楽しいというところだとおっしゃっていましたが、その気持ちが持続して増強されていますよね。FlashやActionScriptの魅力はどんなところですか?

    yossy なんだろうな。最初は好きで始めて、それがもうなじんでいるので離れられないみたいな(笑)今ではかなり手になじんだツールになっているので、それなしではいられないみたいなところがあります。

    川井 なるほど。周りに同志というか、同じレベルでActionScriptをやっていこうという方はけっこういらっしゃるんですか?

    yossy 同業者の人で、仲がいいというかSpark projectに賛同してくれている方はけっこういます。

    川井 年齢的にはどのくらいの方が多いですか?

    yossy 27~29歳くらいがFlashをやっている人が一番厚い層で、会うとそのくらいの年齢の方が多いですね。

    川井 リクルートのメディアテクノロジーラボの寺井さんとはけっこう仲がいいですか?

    yossy はい。そうですね。

    川井 彼も有名ですよね。やっぱりそういう風につながって行くんですね。何年くらいで規模を大きくしていこうとか、計画はあるんですか?

    yossy ぶっちゃけあんまり計画性はありません(笑)でも、近いうち、2~3年くらいで何かしらできたらいいなとは思っています。

    川井 技術的な部分で、今後のActionScriptの課題とかネックになっているところはありますか?あるいはご自身の活動の中で今後の課題と考えていることはありますか?

    yossy 僕の活動としては、ライブラリはけっこうたくさん作っているんですけど、作品寄りのものがあまり作れていないので、今後は代名詞になり得るような作品を作っていきたいなと思っています。

    川井 作品というのは、実用という意味ですか?

    yossy そうですね。何かしらアートっぽいものであるとか、サービスだとか、そういうものです。

    川井 そのまま使えそうなものということですね。

    yossy そうです。プログラマ向けではなく、一般向けのものを作りたいと思っています。

    川井 なるほど。これまでは開発者に使ってほしいと思って作っていたライブラリが多かったけれど、今後は一般の人が自由に使えるようなレベルのものを作りたい、ということですね。

    yossy そうですね。コンテンツレベルのものを作りたいです。

    川井 それはやろうと思えばできてしまうんですか?それとも何かステップが必要なんですか?

    yossy 僕自身がそんなに企画とかが得意ではないので、何か面白いアイディアが思いつけばいいなと思っています。

    川井 技術的、物理的な課題というのはありますか?

    yossy そこは、何を実現したいかによって変わってくると思いますね。

    川井 じゃあ今は、やりたいことと技術のギャップみたいなものはあまり感じていないということですね。

    yossy そうですね。

    川井 10年後、20年後の未来の目標は何かありますか?たとえば経営者になりたいだとか。

    yossy 具体的なところはまだ決めていないですが、僕としては「経営がしたい」とか「むちゃくちゃ仕事をしたい」とかっていうよりはクリエイターでありたいと思っています。面白いものを作ったり面白いライブラリを開発したりしていきたいですね。

    川井 いちクリエイターとして磨いていきたいというのが今の方向性ですね。

    yossy そうですね。

    川井 今すごく楽しいですか?

    yossy 楽しいですよ。

    川井 すばらしいですね(笑)

    yossy (笑)

    川井 たとえば職業プログラマの中には、苦労されていたり嫌々やっている方もいると思うんですね。決められた機能や画面など、制約の中でものを作ることにストレスを感じたり。そんな中でもどうすれば楽しめるのか、ポイントとかありますか?

    yossy 僕がそんなに偉そうなことを言っていいのかっていうのがありますけど(笑)

    川井 いやいや(笑)楽しんでいる人の意見が一番わかりやすいと思います。

    yossy 僕は仕事を請負で受注することがほとんどなんですけど、請負仕事をしている中でも個人的には挑戦している部分がけっこうあったりしますね。たとえば見えないところではScriptをいかにきれいに書くか、設計をいかにきれいにするかなどの部分が挑戦で、そこから派生してライブラリを作ってみたりということもしますし、見える部分ではインタフェースをどれだけ良くするかというのを常に考えていたりします。

    川井 はい。

    yossy そういう、挑戦できるような目標というのをこまごまと設定していくと自分の中のモチベーションが上がって楽しめますね。

    川井 なるほど。それは確かにいいですね。そういう発想は初めからお持ちだったんですか?受託をやられてから生まれた発想ですか?

    yossy いかにコードをきれいに書くかといった個人的な挑戦みたいなものは昔から好きだったので、書いているときは常にそういうことを考えていますね。

    川井 コードをきれいにするというのは、どういうアプローチで考えるんですか?というか、yossyさんにとってどういうコードがきれいなコードなんでしょうか?

    yossy 僕は読みやすいコードが一番かなと思っています。

    川井 他人が見ても読みやすいということですね。

    yossy そうですね。

    川井 美しいというのとはまた違うんでしょうか?

    yossy 美しいというのもいいですね。けっこう感覚的で表現しづらいですけど(笑)

    川井 (笑)

    yossy ただ短く書くことを追及するというのではないですね。

    川井 そうですか。初めのころからそこにこだわるというのは性格的なものなんですかね。

    yossy そうなんじゃないですかね(笑)

    川井 基本的にコードを人に見せることを意識していたりするんですか?

    yossy そうですね。僕はSpark projectをやっていることもあって、コードをいくらでも人に公開するという精神があるので、常に「人に見られてもOK」というコードを書こうとしています。

    川井 なるほど。そこが重要かもしれませんね。ありがとうございます。 ちなみに今、受託は月に何件くらいやっているんですか?

    yossy 多いと、月に3~4件抱えたりしてやっていますね。

    川井 じゃあ十分それで生計は立ちそうな感じなんですね。

    yossy 生計は立っていますね。

    川井 すごいですね。19歳にして個人事業主として十分生計が立つという・・・(笑)

    yossy (笑)

    川井 ActionScriptはすごく将来性があって注目されている領域だと思いますし、ぜひさらにブレイクしていただけたらと思っています。本日はありがとうございました。

    yossy こちらこそありがとうございました。

  • プロフィールyossy(新藤愛大)氏

    本名、新藤 愛大 (Shindo Yoshihiro)。1988年9月30日生まれ。
    「BeInteractive!」を屋号に、「三度の飯より ActionScript」を座右の銘に活動するフリーランス ActionScript エンジニア。Flash / ActionScript 開発のためのオープンソースコミュニティ「Spark project」や、ActionScript 系バイナリアンのためのコミュニティ「Shibuya.abc」といったコミュニティの運営も行っている。

    http://www.be-interactive.org/index.php?memberid=1

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